はじめに:空き駐車場を「資産」に変える時代
近年、シェアリングエコノミーや空きスペース活用というキーワードが注目されています。特に都市部では、駐車場の不足や混雑が常態化しており、「近くに駐められたらいいのに…」という需要は大きいです。
もしあなたの自宅や所有地に使っていない駐車スペース(もしくは余裕のある車庫)があるなら、それをただ「放置」しておくのはもったいないかもしれません。こうした空き駐車場を有効活用し、副収入を得る手段として注目されているのが、駐車場シェアリングサービス。中でも 特P は、初期設備が不要で、登録から運用まで“スマホだけで完結する”手軽さが魅力です。
この記事では、特Pを使って「自宅駐車場を貸し出す」方法をステップごとに解説し、成功のコツ・注意点・収益目安までをできるだけ詳しくまとめます。
特Pとは何か?:サービス概要と特徴

まず、特P(とくぴー)がどういうサービスなのかを整理しておきましょう。
特P の基本概要
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特P は、日本全国規模で展開する駐車場シェアリング/予約サービス。
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空き駐車場を貸したい“オーナー”と、駐車場を借りたい“利用者(ドライバー)”をマッチングするプラットフォーム型のサービスです。
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利用者はスマホまたはウェブアプリから駐車場を検索・予約し、オンライン決済を行います。
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駐車場オーナーにかかる 初期費用・登録料・運営コスト は基本的に ゼロ。設備導入や常設の精算機などを設置する必要はありません。
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利用が発生した際には、運営側が一部の手数料を差し引いた後、オーナーに収益を振り込むという仕組みです。利用者や駐車場オーナーが安心して使えるよう、特Pは対物保険加入を義務付けたり、予約時のキャンセル・時間制御などの仕組みを整えています。
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2023年には、駐車場詳細画面に Google ストリートビュー 表示機能を追加するなど、駐車場がわかりやすくなる工夫も導入されています。
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また、Yahoo!MAP や Yahoo!地図との連携もあり、特P掲載駐車場がこれら地図サービス上でも表示されるようになっています。
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2023年2月以降は、首都高速道路の高架下駐車場の予約貸出も特Pで実施され始めており、公共性・信頼性と拡張性が増しています。
複数の貸出方式:時間貸し/1日貸し/月極(マンスリー・サブスク)
特Pの強みの一つは、貸し出し方式が多様である点です。オーナーは地域の需要特性に合わせて最適な方式を選べます。
主な貸出方式は次のとおり:
| 方式 | 概要 | 対象/利点 |
|---|---|---|
| 時間貸し | 短時間(たとえば数時間単位)で貸し出す方式 | 駅近・都市部・イベント時需要が高いエリアで有効 |
| 1日貸し | 1日単位で貸す方式 | 旅行・観光地周辺や用途が明確な日利用者向け |
| マンスリー(1か月単位) | 1か月単位で貸す方式 | 住民や長期間利用希望者を対象 |
| サブスク(6か月以上) | 長期契約型 | 比較的安定収入を得たい人向け、高い契約継続性を重視 |
これら4つの方式を併用できるのも特Pの特徴です。つまり、月極契約を募集している期間は、未契約区画を時間貸し・日貸しで稼働させることができます。
なぜ自宅駐車場を貸す?―メリットと魅力
自宅駐車場を貸し出すことには、以下のような魅力があり得ます。
1. 資産の有効活用
駐車場スペースが「遊休資産」になるのは勿体ない話。使われていない時間や日を貸し出すことで、何もしていなかったスペースが収益源になります。
2. 副収入・不労所得化
利用データにもよりますが、駅近、商業施設近辺、イベント会場近くなどでは、月額数万円〜十万円単位の収益例も出ています。特P自体も収益実績をいくつか紹介しています。
たとえば:
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駅から徒歩圏内の1車室で 1,500円/24時間 × 利用回数 25回 → 約 37,500円/月
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野球場近く 8時間貸 × 利用回数 46回 → 約 94,750円/月
などの実例が挙げられています。
3. 初期費用・設備投資不要
コインパーキングのような精算機・監視カメラ・ゲート設置など大がかりな設備は不要です。空きスペースとスマホ・写真があれば始められます。
4. 柔軟な貸出設定
オーナーは「貸したい時間帯・曜日・料金」を自由に設定できます。たとえば、日中だけ、夜間だけ、休日だけ、イベント日だけ、など限定的に貸し出すことも可能。
また、急に自分で使いたくなった場合も、予約が入っていない時間帯をスマホ操作で “お休み設定” にでき、柔軟性を確保できます。
5. リスク抑制の仕組み
利用者は登録時に対物保険加入が義務付けられており、駐車場での事故や損傷リスクに備えられています。
また、オーナーと利用者との直接交渉は原則不要で、クレーム対応・予約管理・決済処理は特P側が代行。オーナーは “ほったらかし” に近い運用が可能です。
6. 地域貢献・交通改善
駐車場過剰需要地域では、コインパーキング不足、路上駐車や交通渋滞の原因になることもあります。空きスペースを駐車場として開放することで、地域の駐車ニーズや公共交通流動性に貢献できます。特P自身も「路上駐車の抑制」に資する理念を掲げています。
自宅駐車場貸出を始める手順(オーナー登録から運用まで)

以下に、一般的な流れをステップごとに解説します。
ステップ 1:登録準備・条件確認
まず、自宅や所有地の駐車スペースが貸し出し可能かどうかを確認しておきましょう。
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駐車スペースの寸法・形状:駐車可能なサイズ、高さ制限、幅、奥行き、入口動線などをチェックします。変形地や狭小地でも、バイク駐車場など小規模貸出が可能な場合もあります。
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アクセス・視認性:入口の見通し、安全な車の出し入れが可能かどうか、街路からの進入経路の障害物(ガードレール、電柱、植栽など)を確認します。
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法令および自治体ルール:地域によっては、駐車場経営や賃貸借契約に関する規制、道路後退距離、用途地域制限、建築基準法上の制限などが関わる場合があります。必要に応じて自治体窓口に照会しておきましょう。
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セキュリティ・安全対策:利用者に対して安全性や信頼性をアピールするため、防犯灯、照明、境界表示、見通し確保などを検討しておくと良いでしょう。
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写真・現地確認:登録時には写真撮影が必要になります。入口・見通し・駐車スペース全景など、利用者目線でわかるように撮影しておくことがポイントです。
ステップ 2:特P でオーナー登録・掲載申請
特P のオーナー登録を行い、駐車場情報を掲載します。主な手順は以下の通りです。
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会員登録
特P オーナーとして会員登録を行います。基本情報(氏名/住所/連絡先など)を登録。 -
駐車場情報登録
駐車場所在地(住所)・名称・利用可能台数・寸法・入口情報などを入力します。 -
写真アップロード
駐車場の見通しが分かる写真をアップロード。入口・車室・周囲環境などを含むものが望ましいです。特P 側で加工・地図表示補正なども行われることがあります。 -
料金・貸出スケジュール設定
貸出可能な時間帯、曜日、料金、最低貸出時間の設定などを行います。
複数プラン(時間貸し・日貸し・月極など)を併用することも可能。 -
審査・公開
登録された駐車場は審査を経て公開されます。
公開後、利用者が予約可能な状態になります。 -
運営開始
利用予約が入ったら、予約に合わせてスペースを空けておけば OK。
あとは特P が運営・決済・サポートを担当します。
公開後、オーナーはスマホ操作で時間帯を “休止” にする、料金を変更する、予約状況を確認する、などの管理が可能です。
ステップ 3:運用・収益管理
運用開始後は、以下のような管理・改善サイクルを回すことが成功の鍵となります。
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稼働率チェック
予約状況を定期的にチェックして、空き時間の傾向をつかみましょう。 -
料金改定・プラン見直し
近隣の駐車場相場や利用者ニーズに応じて、料金や貸出時間帯を見直します。最初は安めに設定して稼働を確保し、その後調整する手法も有効です。 -
告知・誘導
特P 提供のステッカーや案内板を駐車場に掲示することで、通りがかりの利用促進につながります。
また、近隣住民やSNS・地域掲示板などで認知を高める工夫もひとつの手です。 -
維持管理
駐車スペースの舗装状態、車線の塗装、境界線、照明、植栽の剪定など、見た目・使いやすさを維持することがユーザー満足度に直結します。 -
キャンセル率管理
予約キャンセルなどの発生があれば、キャンセルポリシー(キャンセル料、直前キャンセル扱いのルール)を見直すことも検討します。 -
拡張・分散
成功すれば、複数の駐車区画を登録したり、近隣の余地を借りて駐車場ビジネスを拡張することも考えられます。
成功のコツ・運用上のポイント
以下は、駐車場貸出を成功に導くためのポイントや工夫です。
1. 立地・需要を見極める
立地が成功の大きな鍵。駅近・商業地近辺・公共施設近く・イベント会場近辺などは高需要が期待できます。逆に、人気が少ない住宅地・奥まった路地などは利用者数確保が難しくなります。
利用パターンが読みやすい場所(仕事帰り、イベント帰り等)が狙い目です。
2. 料金設定は慎重に
料金が高すぎると敬遠されます。周辺コインパーキングや他の特P掲載駐車場料金をチェックしておくことが大切です。特P のオーナーガイドでも「周辺相場より少し安め」などが強調されていることがあります。
キャンペーン価格を設定して最初に利用者を呼び込む手法も有効です。
3. 継続的な見直し・改善
一度設定して運用したら終わりではなく、実際の稼働データをもとに定期的に見直すことが重要です。時間帯の細分化、料金区分の増減、長期貸しと短期貸しの併用など、柔軟な調整が功を奏します。
4. 利用者目線・安心感の演出
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駐車場入口や案内表示は明確にして迷わせないようにする
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夜間灯りがあると安心感が増す
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離れた駐車場なら撮影写真やストリートビュー表示機能を活用し、道順がわかるようにする(特P はストリートビュー表示機能を導入済み)
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駐車場に利用案内や注意事項を掲示しておく
5. リスク管理
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対物保険加入や利用者登録制度が整っているか確認
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定期的な現地点検や設備補修、舗装の劣化対応
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予約者が正しい車種・サイズで駐車できるかを事前に情報明示
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ゴミ置き場化や不正利用(放置車両など)を防ぐためのルール明確化
6. ブランディング・集客
掲示物、看板、ステッカー、地域紹介、SNS などを活用し、「この駐車場が特P だよ」と見せることも大事。視認性が上がれば飛び込み利用者も増える可能性があります。
収益の目安・実例
特P 側が公表している収益実績や他のメディアで紹介された事例をいくつか見ておきましょう。もちろんこれらは目安であり、立地・稼働率・料金設定次第で大きく変動します。
特P 側の実績例(オーナー紹介より)
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徒歩10分の野球場近辺
貸出 1車室、8時間貸 × 回数 46回 → 利用料合計 94,750円/月 -
駅徒歩圏内の駐車場
貸出 1車室、24時間貸 × 回数 25回 → 利用料合計 37,500円/月 -
郊外住宅街・庭先貸出
貸出 1車室、24時間貸 × 回数 23回 → 利用料合計 13,800円/月 -
月極駐車場の未稼働日を時間貸し
4区画、1,200円/14時間 × 利用回数 232回 → 利用料合計 243,000円/月 -
イベント近辺の駐車場
1~2 車室、イベント時利用を中心 → 利用料合計 53,000円/月
また、メディアでの紹介によれば、特Pの手数料は 30 %(利用料の 30 % を特P が手数料として差し引き)というのがスタンダードとされ、オーナー側には残りの 70 %が支払われます。
一方、他の駐車場シェアサービスと比べても、特P は比較的高い還元率を持つという評価もあります(例:akippa やタイムズビーに比してオーナー取り分が多いという意見)
注意点・デメリット・リスク
駐車場貸出には魅力がある一方、次のような注意点やリスクも存在します。これらを把握しておくことが、長期運用の成功には欠かせません。
1. 稼働率の不確実性
どんなに立地が良くても、一定の稼働率を維持できるかどうかは未知数です。利用が少ない時間帯や閑散期などは収益が落ち込むリスクがあります。
2. 料金競争・相場変動
周囲駐車場の料金変動や競合サービスの登場により、自分の駐車場の料金競争力が落ちる可能性があります。
3. 施設劣化・管理コスト
舗装ひび割れ、境界線の摩耗、照明設備の故障、植栽の伸びなど、メンテナンス費用や修繕コストが無視できない場合があります。これらを放置すると利用者の信頼を失います。
4. 保険・事故対応
たとえ対物保険加入が義務化されていても、当初登録時のチェック体制や事故時の対応体制が整っていないと、リスクは残ります。不適切な取り扱いや保証内容の不足が問題になることもあります。
5. 近隣トラブル・騒音・クレーム
駐車場利用者の車両通行、照明、騒音、排気ガスなどで近隣住民からクレームが生じる可能性もあります。始める前に周囲住民との関係性や苦情リスクを意識しておくことが望ましいです。
6. 法規制・自治体制限
駐車場経営に関わる条例や土地利用規制、建築基準法、道路許可などの法的制約が地域によってある可能性があります。事前に自治体窓口で確認しておくのが安全です。
7. キャンセル対応・空き時間
予約キャンセルや空き時間の発生により、収益が予測通りにならないこともあります。直前キャンセル料や予約ルールの明示が必要です。
まとめと提案:自宅駐車場貸出を成功させる鍵

自宅駐車場を貸し出すという選択は、空き資産を有効活用し、副収入を得たり地域ニーズを満たしたりする魅力的な方法です。
特P は、「初期費用なし・設備不要・柔軟設定・運営代行あり」という点で、比較的参入障壁が低く、個人にも適したサービスと言えます。


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